ウィーンのマフテイで靴をビスポークしました

Maftei

2019年10月に、ウィーンのビスポークシューメーカーであるマフテイで靴を注文してきました。日本で高級靴を購入するのとそう変わらない値段で注文できます!この記事では、工房の様子やビスポークの概要等を紹介します。

1996年創業のシューメーカー

公式サイトによれば、親方であるアレクサンドルさんは1960年代にルーマニアで叔父さんの工房でキャリアを開始したのち、1980年代後半にオーストリアに移住し、皇室御用達のシューメーカーであるルドルフシェアアンドゾーネで経験を積んだうえで、1996年にご自身の工房を立ち上げたそうです。ご本人は靴作りを始めて約60年とおっしゃっていました。今でも第一線で靴作りをされているとは、ただただすごいです…‼

ルドルフシェアアンドゾーネ
  • 営業時間:10時~17時(月~木)、10時~16時(金)
  • 定休日:土、日

ただ、親方が出張等で不在の場合があること、また、親方自身は英語があまり話せず、ドイツ語が堪能な方でない限り、ヘルプの方を付けていただくのが望ましいことを考慮すると、注文を検討されている場合は事前にメールで連絡したほうが良いと思います。ちなみに私はウィーンに土~月曜日に滞在したのですが、事前に連絡したところ、親方が月曜日にイタリア出張で不在とのことで、日曜日の朝に工房を開けてもらい、対応していただけました。

ちなみに、インターネット上では、数年前には本店のほかにもう1店舗あったようですが(それを伺わせる記載も公式ウェブサイトの経歴紹介にあります。)、公式ウェブサイトやグーグルマップを見る限り、当該店舗の存在は確認することができませんでした。もしかすると最近閉店したのかもしれません。

どことなく温かみを感じる店内

待ち合わせの時間に工房に向かうと、ずらっと並べられたサンプルとともに、親方とヘルプの方(名前を失念してしまいました。。)が出迎えてくれました。

代表的なモデルの一つが上のセンターシームのモデル。ウィーンスタイルとおっしゃっていました。特に日本人に人気だそうで、4人に1人はこのスタイルを注文されるそうです。中には色違いで注文される方も!

また、ノルウェージャン製法も得意にされており、その腕はロブロンドンのアウトワーカーとして同製法の靴の底付けを任されているほど(ロブロンドンからの注文書を見せてくれました)。

イントレチャートの靴も
こちらはもっぱら展示用とのこと
これは1920年代に皇室の方向けに誂えたものとのこと。キャップが小さい!
工具がずらり。これも主に展示用だそう
入口左手に掲示されていたマイスター認定証

注文したのは…

色々見せていただいたうえで、上のUチップのスタイルも気になりましたが、手持ちのスタイルとかぶることを考慮し、最終的には下のサンプルをそのままお願いすることにしました。

ライニング

ライニングはシープスキンで足当たりが柔らかそうです。既製靴の場合、左足の甲の骨と右足の小指の関節部分が当たって痛むことが多いのですが、スエード+シープスキンであればそのような問題が出にくいのでは、との期待も込めての選択です。

ソールは木釘(木ペグ)で固定するオーストリア独特の製法を選択。修理面は気になりましたが、値段が安かったことに加え、それほどハードには履かないだろうという想定でOKとしました。なお、アップチャージなしでトゥスチールも装着可能です。

採寸

スタイルの選択後、さっそく採寸に移りました。まず、転写式のシートに片足ずつ乗せ、足圧を取ります。シートにはorthopedicとの記載があり、整形靴の製造で使用されているものと同じようです。

その後、座った状態で足の輪郭をシートに落とし込み、各所を採寸。私の認識する限り、採寸箇所は片足当たり3か所と比較的少なめでした。他方、クレバリーやマーキスなど、他のビスポークシューメーカーでは甲や指の高さなど、もう少し細かく採寸された記憶です。

上で述べたフィッティングの懸念点についても併せて配慮してもらえるように伝えました。

なお、この日はマーキスを履いていきましたが、踵はもう数ミリ大きい方がいいけど、とてもいい靴だと話していました(笑)

納期・費用

納期は木ペグ止めの場合仮縫いまで3~5週間、そこから完成まで同程度とのこと。他の製法ではさらにかかるようですが、そのほか、仮縫いの有無や再訪の予定の有無等で時期は変わってくると思います。私の場合、シュトゥットガルトに別のお客さんがいらっしゃるとのことで、その方のフィッティングの際に合わせてフィッティングしてくれることになりました。

費用は製法によって異なり、2019年6月に注文されたフォロワーさんから伺った話を総合すると、

  • 木ペグ:1100ユーロ
  • グッドイヤー:1600ユーロ
  • ノルウェージャン:1800ユーロ

いずれもシューツリー込み。ただ、革によっても値段が異なる可能性もあるので、要確認です。また、クレジットカードが使えませんが、手持ちがなければ徒歩5分ほどの場所にATMがあります。

加えて、サンプルが一部販売されています。大きめのサイズ中心で数は少なく、スタイルによりますが800ユーロ~。フィッティングがしっくりくるのであれば、サンプルを購入するのもありかもしれません。

最後に

ロンドンのビスポークシューメーカーの場合4000~5000ポンド、日本の場合30~40万円ほどであることを考えると、金額的には比較的お得です。サンプルと異なるデザインの場合には進め方が異なると思いますが、気に入ったものがあれば試してみる価値はあるのではないでしょうか。完成後、続報をまとめたいと思います。

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