こちらとこちらの記事で順を追って制作過程を紹介したジョージクレバリーのレイジーマン。この記事では、完成した靴のディテールやその後の推移、2足目の注文等を紹介します。
ディテール
写真はリソール後に撮ったものです。
完璧なデザインバランス
アンソニークレバリーのチャーチル自体は靴としては比較的装飾が多い(誤解を恐れずに言えば、うるさい)デザインだと思いますが、私の足に合わせながら全体を破綻なくまとめてきたのはさすがクレバリー。特にブローグのラインの引き方やメダリオンの大きさと靴全体とのバランスが刺さりました。
メリハリの利いたフォルム
ボールジョイント部分付近からトゥ部分にかけてキュッと絞り込まれたシェイプ。小指部分に難のある私の足型を考慮しつつ、全体のシャープさはなお失われていないように思います。このあたりの塩梅はビスポークならではというところでしょうか。
レースステイ部分のピッグスキンはそれほど目立たず、イメージ通り。オストリッチの場合、大分存在感が強くなってしまっていたかもしれません。
正面から見るとねじれていますが、上から見ると美しいのは何度見ても不思議です…!!
踵の食いつき
グラマラスなヒールは、しっかりと踵を掴まれる感覚。紐での調整が利かない靴ですが、甲と踵、そして全体でしっかりホールドされています。これは手持ちの既製靴では味わえません。
ベヴェルドウェスト
ソールは緩やかなべヴェルドウェスト。フィドルバックも指定できましたが、イニシャルを入れてもらった関係でフィドルバックにしないほうが収まりがよいとのことで、この靴では見送りました。
青一色のライニング
ライニングはレース部分と同じ青色を指定。鮮やかな色で、足入れする度にテンションが上がります。
小窓に記載されたシリアルナンバーと思われる6桁の数字と、02-19との数字。注文は2018年10月でしたが、実際に制作に着手したのが2019年2月という意味かもしれません。
ノーストレスな着脱
あとは、レイジーマンだけあって何と言っても脱ぎ履きが楽。いちいち紐を緩めたり締めたりする必要がないのはありがたいです。飲み会の日等に役に立ちそうですが、粗相があったら泣くに泣けないので飲み会には履いていけないですね(笑)
ヒンジ式のシューツリー
シューツリーはヒンジ式で軽いです。これなら出張先に持っていってもさほど負担にはならなそう。ラステッドツリーだけあって、装着するのがなかなか大変です(笑)
ビスポーク専用の靴箱
RTW用の赤色の靴箱とは異なり、ビスポークは黒色の靴箱。結構大きめで余裕があります。布袋は赤色。
履き始めるも音鳴りが…
早速履き始めましたが、早々に左足の靴底がキーキー音鳴りするように。。また、長時間着用すると甲骨部分と履き口部分が痛むことも判明。フィッティング時に調整をお願いした箇所でしたが、十分ではなかったようです。このあたりは1足目に紐靴を注文しなかった弊害かもしれません。
しばらく様子見で履いてみましたが、症状が改善されず、出国日も近づいてきたため、一度ワークショップで見てもらうことに。2週間ほど預かってもらい調整してもらいましたが、その後も音鳴りが再発。甲骨の圧迫感も完全には解消されなかったため、リソールしてチェックしてもらうことになりました。
幸い一時帰国のタイミングでトランクショーがやっており、伊勢丹メンズ館でアダムに再会。
こちらは伊勢丹メンズ館のオーダー会の様子。エキゾチックレザーが前面に強調されたディスプレイでした。何より驚いたのはオーダー会での価格。なんと通常価格の1.5倍近くの80万円オーバー。。。消費者目線ではおよそ無視できない差異ですが、値段を気にしない方はサクッと注文されるのかもしれませんね。
ちなみに、トランクショーで片足分のみ靴を展示する理由を尋ねたところ、①両足分持ち運ぶのは重いのでそもそも片足分しか作っていない、②税関で展示用の靴それ自体を販売する意図がないことの説明がしやすい、とのこと。実際に何回か当局から質問を受けたこともあるそうです。
3か月振りの再会
待つこと3か月、ロンドン再訪時に靴を受け取りました。ソールのイニシャルのデザインが変更されましたが、個人的には変更後のほうが好み。今度こそ音鳴りが解消したことを祈って、しばらく履いてみたいと思います。
2足目のオーダー
出国前に1ポンド120円台という空前のポンド安。1足目を注文したときは140円台だったので、トータル数万円安。金額が金額だけに悩みましたが、1足目のフィーリング自体は良かったため、これほどのチャンスはもう訪れないだろうと踏み、2019年9月に2足目をオーダーし、全額入金しました。12月半ばの総選挙後は140円台で安定して推移しているので、現時点では思い切って注文してよかった。。
前々から、次にビスポークするのであればバルモラルオックスフォードにしようと決めていました。ベースはジョージクレバリーのRTWコレクションのEdward(下記写真)。スワンネック等の控えめな意匠が気に入りました。
2足目からはフィッティングなしで済ませる顧客もいるそうですが、今度は紐靴でありやや感触が変わりうること、また1足目が調整中だったことを踏まえて、一度フィッティングを経ることになりました(2020年3月~4月を予定)。例によってベースのスタイルから何点か変更を加えましたが、詳細はフィッティングの際にレポートしたいと思います。
おまけ
店内の様子を少々。
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