裁判所で物々しいかつらをかぶる面々をイギリス映画等でご覧になったこともいらっしゃるかもしれません。このかつらを古くからロンドンで製造している世界最古のテーラー、Ede & Ravenscroft(イード&レイヴェンスクロフト)に行ってきました。この記事では、店舗の概要や店内の様子を紹介します。
基本情報
- 営業時間:8時45分~18時
- 営業日:月~金
店舗は、Chancery laneという、裁判所、法律事務所等が集まっているエリアにあります(最寄駅:Chancery lane(セントラルライン))。訪問時も、法曹関係者と思しき方々が法服の採寸に来ていました。
法服・法廷用かつらメーカーの元祖
ロイヤルワラント3つ持ちの伝統あるテーラー
創業は1689年。同社は18世紀初頭以降現在に至るまで、法服・法廷用かつらを製造しています。1761年に国王の座に就いたジョージ3世以来、ロイヤルファミリーが戴冠式で着用するローブも代々製造しているとのこと。他のメーカーが製造工場を郊外に移転している中で、変わらず店舗の地下で製造を続けているそうです。
ロイヤルファミリーとの深いつながりもあり、現在もロイヤルワラントを3つ保持しています。クロージング部門でロイヤルワラントを3つ保持している会社は、DAKS、GIEVES & HAWKES、J. BARBOUR & SONS、KINLOCH ANDERSONと同社の5社のみであることからも、その重みが伝わってきます(2019年7月現在)。
ちなみに、ロイヤルワラントを保有している会社はこちらで検索できます。ケロッグ等、一見ロイヤルワラントホルダーのイメージがない会社もちらほら。
英国王室御用達 知られざるロイヤルワラントの世界 (平凡社新書) [ 長谷川喜美 ]
この本では、ロイヤルワラントの仕組みが分かりやすく説明されています。新書サイズでさらっと読めました。
Barristerの法服
こちらはBarrister(法廷弁護士、Juniorとも呼ばれています。)が着用する法服。Barristerが経験を積んでQueen’s Counsel(勅撰弁護士、QC)に任命されると、ローブがシルク製になり、青色の包みが赤色のものになるそうです。
ちなみに、Barristerは、裁判所に設置されたBar(仕切り)内で弁論活動が認められている者、という由来だそうです。それ以外の法律事務を取り扱う弁護士はSolicitor(事務弁護士)と呼ばれています。
趣のある店内
店内はエントランスからは想像できないほどの奥行きがあります。
靴はエドワードグリーン又はクロケット&ジョーンズのOEMとの噂ですが、店員さんが忙しそうだったため確認できず。
店内奥はフォーマルウェアのエリア。シルクハットのディスプレイが目を引きました。
最後に
老舗ならではの雰囲気が感じられるディスプレイで、行ってみて後悔はしないと思います。ホルボーン駅から地下鉄で1駅とアクセスも良好。小物類も充実しているので、お土産探しにもぴったりかもしれません。
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