フォスターアンドサンの既製靴を追加でゲット!最高級ラインと通常ラインを徹底比較

Foster & Son

今年春から販売開始されたフォスターアンドサンの既製靴。5月に購入したサンドリンガムに加えて、先月高級ラインであるフォスターコレクションの新作、オリバーを手に入れました。この記事では、ディテールや既存ライン(ジャーミンストリートコレクション)との比較等を紹介します。

フォスターコレクションの特徴

フォスターコレクションは、フォスターアンドサンの既製靴の中で最上位に位置付けられているラインです。公式サイトの説明(以下引用)によれば過去のビスポークのスタイルをベースに作成されているとのこと。

The Foster Collection represents the pinnacle of English ready to wear shoemaking. These great classics draw inspiration from the Foster bespoke archive, and can be adapted to your personal requirements by special commission.

(Foster and Son – The Foster Collection)

ジャーミンストリートの本店で店員さんから伺ったフォスターコレクションの特徴は以下のとおりですが、スタンダードラインに当たるジャーミンストリートコレクションと比較して、特にハンドワークを多く取り入れていると強調されていたのが印象的でした。

  • フィドルバック
  • テーパードヒール
  • ベヴェルドウェスト
  • シームレスヒール ※モデルによる
  • ヒール部分の段差(ユニオンワークスさんが「チッ!」と呼んでいる部分)
  • 革のクオリティはジャーミンストリートコレクションと同じ
  • ラスト毎の専用ツリー付き

基本情報

  • モデル名:Olivier(オリバー)
  • ライン:フォスターコレクション
  • ラスト:83
  • 価格:12751750ポンド(シューツリー付き)
  • ウィズ:E

モデル名はスペルからはオリヴィエとも読めそうですが、店員さんはオリバーと発音していました。イギリスの俳優であるローレンス・オリヴィエさんが1944年にヘンリィ5世という映画の出演に際して注文したサイドレースオックスフォードをモデルにしているそうです。なお、オリバーについては11月3日現在、公式サイトに説明はあるものの、写真は掲載されていません。

(2020/3/28追記)

新たに商品説明が追加されましたが、なぜか以前の説明内容と内容が異なります。最初の説明が以前のもの、あとの説明が現在のものです。今後旧バージョンが削除される可能性もあると思うので、記録のため残しておきます。

We have named our Side Lace Oxford shoe “The Olivier”  because our history relates that Sir Laurence Olivier commissioned a pair in 1944 for his celebrated role in Shakespeare’s Henry V. Although the design appears to be very old, The Olivier has quite a dashing and contemporary look, at once formal and characterful.

Foster and Son official website

This 3 lace whole cut shoe is made from one piece of calf leather, which offers superb comfort but requires a blemish free skin and careful craftsmanship. The simplicity of the design draws attention to the profile of the last, the excellent quality of the leather and the restrained details in the Closer’s stitching.

Foster and Son official website

RTWはblackとsequoia(店頭で見たときは濃い緑だった記憶です)、それ以外はMTO(アップチャージ200ポンド、14週間で完成)でのオーダーが可能です。

ウィズはRTWの場合E(MTOの場合FもOK)。私の場合、グリーンの82・888ラストやアンソニークレバリーのラストは細くて小指が当たり履けませんが、フォスターはOK。細身の方だと多少緩く感じる可能性があります。

ちなみに本店にはサイドレースのビスポークサンプルが数点保存されており、店員さんに聞けば見せてもらえるかもしれません。

2020/3/28追記

大規模な価格改定があり、オリバーは1275ポンドから475ポンド値上がりの1750ポンドへ(!)。ほとんどの既製靴よりもお高い値段ですね。。この価格改定が吉と出るか凶と出るか。。

ディテール

上で挙げたフォスターコレクションの特徴を踏まえて、ディテールを見ていきます。さすが最上位ラインだけあって、美しい佇まいです。

フィドルバック・ベベルドウェスト

立体感のある美しいくびれです。黒色のソールも高級感があります。

テーパードヒール

横から

初期のガジアーノガーリングの既製靴で見られたヒール部分の段差もあります。手が込んでいますね。

ブラインドウェルト

繊細・丁寧な仕上がり

専用シューツリー

付属のシューツリーは各ラスト専用なのもうれしいポイント。

なお、サンドリンガムを購入した際に太すぎて締められなかった靴紐は改善されており一安心。

サンドリンガムと比べてみた

ここからは既存ライン(ジャーミンストリートコレクション)であるサンドリンガムとの比較です。

トゥシェイプ

ラストの違い(後述)もあり、オリバーのほうが若干シャープです。

アッパー

店員さんによれば、アッパーは両ラインとも同じ革を使用しているとのことでしたが、もしかしたらフォスターコレクションに良い部分を回しているのかもしれません。

ソール

フォスターコレクションがベベルドウェストを採用しているのに対して、ジャーミンストリートコレクションはフラットなソールを採用していますが、高級感では前者に軍配が上がるでしょうか。ちなみに、ビスポークではどちらも同程度作っているそうです。

ヒール

両コレクションの違いがわかりやすい部分。テーパードの有無のほか、フォスターコレクションのヒールはジャーミンストリートコレクションのそれよりも一回り小さいです。

ウェルト

この部分も両コレクションの違いが見て取れます。

シューツリー・ラスト

オリバーのシューツリーはアンソニークレバリーのそれと同様の作り(スプリングライン製)。

ラストについては、オリバーは83、サンドリンガムは66です。店員さんによれば、83ラストは66ラストに比べてslightly narrower toeだが、それ以外のフィッティングは同じとのことでした。

履き心地・サイズ感

まだ室内で足入れしただけですが、サンドリンガム(66)とほぼ変わらないラストということもあり、履き心地はさほど変わらない印象です(サンドリンガムについてはこちら)。ただ、甲部分が覆われているからか、サンドリンガムよりもしっかりフィットするように思いました。あえて言うならば、(サンドリンガムも同様ですが)踵回りが気持ちもう少しだけ小さくてもよいかなという気もしますが、既製靴としては十分な収まり具合だと思います。

作りについては、他の英国靴(特にガジアーノ)と比較すると、アッパー・ソールを含めて全体的にやや硬めに感じます。かといって履きづらいというわけではなく、丈夫そうなのでガンガン履けそうです。

サイズは通常の英国靴のUKサイズと同様に選んで間違いはなさそうです。

フォスターコレクションは買いか?

現地での販売価格が1200ポンド~のため、日本での販売価格は20万円を超えると思います。シューツリー込みの価格で考えると、おそらく、(ジャーミンストリートコレクション<)グリーン<ガジアーノ≒フォスターコレクション<ロブのプレステージライン<アンソニークレバリーあたりに落ち着くのではないかと推測しています。

他方で、丁寧な作りやビスポーク向けの意匠など、フォスターの意気込みが感じられる靴です。素人なので革のクオリティや製法の細かい点はわかりませんが、作りの面ではグリーンやロブを凌ぐレベルと言って差し支えないのではないかと思います。

既存ラインとの価格差はシューツリーを含めると400ポンド前後と小さくない額ではありますが、フォスターが言うところの「ハンドワーク」により、価格差が正当化できるだけの差別化も十分に図れているのではないでしょうか。店頭でチェックしてみる価値のある靴であることは間違いないでしょう。

2020/3/28追記

価格改定の結果、フォスターコレクションは1500ポンド~に値上がり。かなり強気の価格改定です。いったい日本での価格はいくらになってしまうのか。。。

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