エドワードグリーンとフォスターアンドサン、どっちのドーバー?

Edward Green

フォスターアンドサンのドーバータイプのUチップの既製靴、キーブル。本家といえるエドワードグリーンのドーバーと何が違うのか…並べて見てみると、色々な違いが浮き上がってきました。この記事では、両者の比較内容について紹介します。

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基本情報

まずは、手持ちのドーバーとキーブルの基本情報について簡単におさらいします。

モデル ドーバー(Dover) キーブル(Keble)
ラスト 606 05
ウィズ E E
チェスナット ピートブラウン
ソール ダイナイトソール レザーソール
現地価格 1200ポンド 1180ポンド
シューツリー 95ポンド 120ポンド

価格

キーブルは以前は1080ポンドでしたが、3月28日現在価格改定があり、1180ポンドに。値段面での違いはほぼなくなりました。ただ、安いからというよりは、履き心地など含めてよりしっくり来たほうを選んだほうが後々後悔しないように思います。

また、ドーバーはモデルによってはセールにかかることがあり、お得に手に入るチャンスがありますが、キーブルについては当分それは期待できないでしょう。

バリエーションの豊富さ

ドーバーについては、606ラストの他にも32ラスト、202ラストなど、ラストの選択肢が多いうえ、色・革の種類も豊富で、自分に合ったドーバーに出会える可能性が高いのも魅力的ですね。他方で、キーブルはRTWではラストは1種類、革はピートブラウンとブラック、ブラウンスエードの3種類のみ。

上から

左がキーブル、右がドーバー。ラストの違いがわかりやすく出ており、ドーバーはボールジョイント付近までの張り出し具合が強く、そこからトゥに向けてぎゅっとカーブしているより内振りの木型ですが、キーブルは全体的に細身でシャープな印象を受けます。

5アイレットにエプロンステッチなど、基本的な特徴はいずれも共通しています。両方買った場合、ご家族の方からは、なぜ同じ靴を買ったのかと詰められる恐れが高いですね(笑)

横から

目を引くのは、①トゥのボリュームと、②甲の立ち上がり。ドーバーはトゥがぽってりしていますが、キーブルは控え目。また、ドーバーはレースステイ手前からぐいっと持ち上がるのに対して、キーブルはさほど傾斜が強くありません。

そのほか、ヒール周りに目を向けてみると、ヒールカップの角度が微妙に違います。ドーバーはより足に寄り添った傾斜。後述するヒールカップの深さと相まって、ドーバーのほうがやや踵が抜けにくいように感じます。

トゥ

スクエアトゥのドーバーに対して、ラウンドトゥ(「スマートラウンド」と呼ばれている模様)のキーブル。32ラストであれば、トゥから受ける印象の違いはさほど大きくないでしょう。

スキンステッチはいずれも見事。

エプロンフロント

遠目ではわかりませんが、ステッチの間隔についてはキーブルのほうがわずかに狭いでしょうか。また、下側の縫い糸を見てみると、キーブルのほうが目立ちません。このあたりは革の種類や個体差の範囲によるものかもしれません。

羽根部分に着目すると、キーブルのステッチの間隔が均一であるのに対して、ドーバーのそれは途中で切り替わっていることに気が付きます。これによって強度面の違いなどが生じるのか、単なる装飾上の違いなのか…フォスターがドーバーを完コピしたくなくて、微妙に変えたという説も有力かもしれません(笑)

ヒールカップ

ヒールカウンターのデザインこそ同じですが、ヒールカップの深さの違いが見て取れます。ドーバーのほうが5ミリほど深く、これによって踵の抜けにくさが担保されていると感じます。

他方、キーブルは、あえてドーバーと比較すれば、やや踵のホールド感が物足りない気がします。ヒールカップ自体は小さめなので、きちんと靴紐を締めて履けば、他の既製靴と遜色ないレベルであり、この点がネックになるものではないとは思いますが。

ちなみに、インソックはいずれもハーフソックです。

ソール

ドーバー
キーブル

特筆すべき点はないですが、ドーバーはレザーソール・ラバーソールいずれの選択肢もあるのに対して、キーブルは現時点ではレザーソールしかありません(RTWの場合)。雨の日に履くのは勇気がいりますね。

足入れのし易さ

履き口は、ドーバーのほうがやや狭めで、着脱に苦労します。シューホーンなしで履くのはけっこうしんどいでしょうね。

フィット感

キーブルは足の全体に隙なくタイトにフィットする感触です。ドーバーも決して緩さはなく、ちょうど良い塩梅なので、どちらをベターと感じるかは個々人の好みの問題でしょう。

606ラスト・202ラストの代名詞として名高い踏まずのフィッティングですが、立位・歩行する分には両者で有意な差は感じられませんでした。

ただ、踵のホールド感については、ドーバーに一日の長があるように思います。ヒールカップの深さ、角度が違いを生んでいるのではと推測しています。

また、横からの画像で述べた点と関連しますが、キーブルのトゥ周り~甲までのボリュームが抑えられているため、特に足がむくんだときに、足指の関節付近がやや窮屈に感じます。人によっては、痛みを感じることもあるかもしれません。

シューツリー

エドワードグリーンのシューツリーは202ラスト準拠で作られているという記憶ですが、606ラストについても(大きな違いはトゥの形状のみということもあり)問題なくフィットします。

他方、フォスターアンドサンのシューツリーはラステッドツリーなので、フィット感は抜群です。全体のフィット感でいえば、フォスターアンドサンのものに軍配が上がるでしょう。キーブルのシューツリーの着脱はいまだに大変(笑)

まとめ

シューサークルやってみました

以上みてきた特徴・差異をまとめてみました。

  • 基本的な特徴はいずれも同じ
  • キーブルのほうが気持ちタイト目?
  • 甲高の人にはキーブルはきついかも?
  • ヒールカップはキーブルのほうがやや浅め

個々人によってどの要素を重視するかは違うので、どちらがベターということは言い切れませんが、どちらもお気に入りの1足になるポテンシャルのあるよい靴だと思います。機会があれば、食わず嫌いせずに両方お試しになってみてはいかがでしょうか。

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