サヴィルロウのハンツマンでスーツをビスポーク(採寸編)

Huntsman

2019年6月に、スパイ映画のキングスマンの舞台にもなった、サヴィルロウのビスポークテイラー、ハンツマン(Huntsman)にて、2ピーススーツをビスポークしました。この記事では、ハンツマンでの採寸・注文の様子を紹介します。

ハンツマンとは?

H. Huntsman & Sons

  • 営業時間:9時~17時30分(月~金)、10時~15時(土)
  • 定休日:日・祝日

ハンツマン(Huntsman)は、1849年創業と170年以上の歴史を誇るテーラー。ロンドンで名だたるテーラーが一同に会するサヴィルロウ(Savile Row)に店舗を構えます。向かいにはガジアーノガーリングがあるほか、昨年末にはドレイクスやハケットの新形態がオープンするなど、盛り上がりを見せているエリアの一つです。

ディスプレイが格好良すぎる

乗馬用の衣服の販売から始まり、紳士服へと展開していったとのこと。古くはエドワード7世、ウィンザー公、ウィンストン・チャーチルからグレゴリー・ペック(ローマの休日で有名な俳優さん)まで、錚々たる面々が顧客リストに名を連ねます(店内に写真が飾られています)。最近では、キングスマンという映画でコリン・ファースが所属するスパイ組織の活動拠点として取り上げられたことでも有名です。

キングスマンで登場したジャケット

ビスポークするか否か…

日本ではMTMまでしか経験したことがありませんでしたが、イギリスに来たからには、一生の記念にサヴィルロウのテーラーでビスポークしてみたいという思いはありました。その中で、単純ですが、キングスマンの影響もありハンツマンが最有力候補に。また、「本場のイギリス英語を聞く」というイギリス英語の学習本でハンツマンのヘッド・カッター兼クリエイティブ・ディレクターのキャンベル・ケアリーさんのインタビューが取り上げられており、身近に感じたのも一つの理由でした。

余談ですが、著者の川合さんはブリティッシュメイド関連のお仕事もされており、2018年にブリティッシュメイド銀座店でチャーチ(かチーニー)のトップの方のトークショーが開催された際に、会場で同時通訳を務められていました。色々リスニングの本を試しましたが、生のイギリス英語を学習するのであればこの本は断然おススメです。ハンツマン以外にも、アフタヌーンティーの老舗クラリッジズや、ケンジントン宮殿、ビートルズ・ウォーキング・ツアーなど、楽しめるトピックが目白押しです。

本にサインをいただきました

とはいえ、ネックは費用。特に上記の本にハンツマンのビスポークは5250ポンド~(2ピース)という情報があったので、さすがにこの値段だと手が出ないというのが正直なところでした。

ところが2019年1月、創業170周年のタイミングでBespoke 100というエントリーラインのビスポークが導入されるとのアナウンスがありました。気になる費用は3500ポンドと通常ライン(Bespoke 1849)の3分の2ほど。仮に日本のテーラーでビスポークしたとしても同程度の費用がかかることを考慮すると、この価格ならありかも…ということで、思い切ってお願いすることに。

ビスポーク100

ビスポーク100は、縫製をハンツマンから認証を受けた海外のテーラーが担うことで、通常ラインであるビスポーク1849と比較して納期の短縮化とコストダウンを実現したラインです。両者の主な特徴は以下のとおりです。

ラインビスポーク1849ビスポーク100
納期8~11週間6~8週間(※)
費用(2ピース)5450ポンド~(※)3500ポンド~
生地の選択制限なし一部制限あり
工程全てサヴィルロウのワークショップで実施採寸、カッティング、フィッティング、仕上げをサヴィルロウのワークショップで実施
フィッティングの回数2回~2回~
アフターサービスありあり(ビスポーク1849と同様)

※納期は繁閑により差があるようです。私が注文した際は8~12週間かかるとの説明でした。
※費用は現在変更されている可能性があります。

上のとおり、ビスポーク100についても、大半の工程はサヴィルロウの店舗で行われます。縫製を担当するのは、中国、イタリアなどのとあるテーラーとのこと。納期については、店舗に都度足を運ぶのではなく、トランクショーの際にフィッティングするのであれば、両ラインで違いは生じないように思います。

生地の選択ですが、ビスポーク100でも決めるのに悩むほど多数のバンチがあり、不自由は感じませんでした。ハンツマン十八番のチェックのツイードのような特定の生地は選択できなかった記憶ですが、絶対にこの生地でなければダメ、ということでなければ、この点は大きな障害にはならないでしょう。

キングスマンルームでの採寸

奥行きがあります

アポイントメントを取ったうえで、ビスポーク100の内容について担当のClient ManagerであるXiaofei Hanさんから説明を受けたのち、採寸へ。採寸部屋は2か所ありますが、この日はキングスマンで使用されたことから名づけられたキングスマンルームを使用しました。

四方をエメラルドグリーンに囲まれる空間にただただ圧倒されます…

映画の写真が飾られています。これはテンション上がらざるを得ない…‼

担当はUnder CutterのEmma Copeさん。アジア担当のSenior CutterであるRobert Baileyさんをサポートしているそうです。ビスポーク100では、若手の方を中心に登用しているのかもしれませんね。

まずはジャケットを着た状態で、それからジャケットを脱いで採寸。Xiaofeiさんが手元の端末にデータを記録していきます。採寸はテンポ良く進み、10分~15分ほどで終了し、ここでEmmaさんとはお別れ。

スタイル・生地の選定

その後、スタイル、生地の選定に移行しました。ハウススタイルの押し付けのようなことはなく、自由に決められますが、ハウススタイルに沿ったものが欲しかったので、シングルブレスト、1ボタン、絞り気味のウェストラインなど、スタンダードなものを選択。

生地はそれほど迷わず、Smith Woollensのネイビーのチョークストライプに決めました。目付は忘れてしまいましたが、しっかり目のものです。他方、裏地についてはその場では決められず、初回のフィッティング時に持ち越しに。

これに惹かれましたが…

フィッティングの様子については、別記事で紹介します。

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