以前こちらとこちらの記事で紹介したフォスターアンドサンの新既製靴。2019年12月のロンドン訪問時に新たにUチップの新作、キーブル(Keble)を購入しました。この記事ではその詳細について紹介します。
おさらい:フォスターアンドサンの既製靴とは?
まずはフォスターの既製靴の主な特徴を改めて確認します。
- 双日の出資を受けてノーザンプトンの新設工場にて2018年11月頃より製造開始
- 主力は高級ラインにあたるフォスターコレクションとスタンダードラインにあたるジャーミンストリートコレクション
- いずれもビスポークラインと同じクオリティの革を使用
- 1足当たり6週間かけて製造
- ラストごとの専用シューツリー(スプリングライン製)
- ソールには他店の高級ラインでも使用されるオークバークを使用
- ハンドワークの多用(特にフォスターコレクション)
基本情報
- モデル名:Keble(キーブル)
- ライン:ジャーミンストリートコレクション
- ラスト:05
- 価格:
10801180ポンド(+シューツリー120ポンド)※2020/3/28現在価格改定あり - ウィズ:E
美しいフォルム
流れるようなきれいな形。ドーバーファンが多いのも納得です。履くと足が長くなったような錯覚に陥ります(?)。スペードソールも横から見るとなかなかスマート。
ピートブラウン
色はピート(ウイスキーの製造過程で使用されるピートのことだと思われます)。ベジタブルタンニンなめしのため、黒のカーフ(クロム+タンニンなめし)と比較してやや柔らか目とのこと。ドーバータイプはガジアーノガーリングのHove(Roja calfというバーガンディーに近い色)を持っていますが、それよりはやや肉厚でしっかりした感触です。
エプロン+ブラインドステッチ
ドーバーといえばこの仕様。工場でもこの作業をできるのは3人のみとのこと。
05ラスト
05ラストを採用。店員さんによれば、66、83ラストと比較して気持ち甲が高くトゥ部分にゆとりがある点でmore generous lastだが、それ以外の作りは同じだそうです。私は全て通常のUKサイズ(UK7)で購入しました。
フィット感
66ラスト(サンドリンガム)、83ラスト(オリバー)との明らかな違いを感じるほどのものではありませんが、踏まずのサポート具合を含めた全体のフィット感は変わらず良好。個人的には、既製靴の中では、ガジアーノと並んで最も程よくタイトに気持ちよく履けます。
なお、ビスポーク等を通じて職人さんから伺った意見を総合すると、私の足には以下のような特徴があるそうです。私のようにトゥ部分が細身の靴は合わない方でも、フォスターについてはしっくりくる可能性はあると思います。
- 全体的には平均的な形状
- ウィズはDからE(ウエストンは基本D)
- 柔らかい(なので狭めのウィズでも入ることは入る)
- 両足小指が平均よりも3-4mm高いため小指が当たりやすく痛みが出やすい(グリーンは202以外×、ガジアーノはMH71とKN14以外×、アンソニークレバリー×)
ソールのスタンプが追加
以前には施されていなかった意匠として、ソールのスタンプが追加されました(ジャーミンストリートコレクション限定)。同コレクションのソールの処理の味気なさは否定できないだけに、うれしい仕様です。現在入荷分については、スタンプがあるものとないものが混ざっている可能性があるので要注意。
絶妙な価格設定
価格は1080ポンド(+シューツリー120ポンド)。ドーバーの1200ポンド(+シューツリー95ポンド)よりも一回り安いです。店員さんも「ドーバーより安いのが大きな違いだね(笑)」言っていました(笑)
ドーバーが圧倒的に知名度・ブランド力がある中で、(あえて)フォスターを選んでもらうための一つの考慮要素にはなりそうです。日本の販売価格も競合との兼ね合いで上手く設定してほしいですね。
ジャーミンストリートコレクションの大半が800ポンド前後であることを考慮すると高めではありますが、手間がかかっていることに加えて、フォスターコレクション仕様にするとさらに値段が上がることが想定されるので、ジャーミンストリートコレクションとしての打ち出しは妥当な選択ではないでしょうか。
(追記)
日本での販売価格は198000円のようです(日本橋三越のポップアップでの販売価格(~2019年12月31日))。ドーバーが205700円(ストラスブルゴオンラインストア)なので、若干安いですね。
(2020/3/28追記)
しばらく公式ウェブサイトからキーブルが消えていましたが、他のモデルを含めて大規模な価格改定があり、100ポンド値上がりした1180ポンドに。価格面でのメリットはなくなりました。
しれっと値上げされたシューツリー
なお、私がサンドリンガム用に購入した7月時点ではシューツリーは79ポンドでしたが、今回購入時では120ポンドに値上がり。。まぁ、よくよく考えれば中途半端な値段ですし、前が安すぎましたね。lasted shoe treeなので入れるのが一苦労ですが、しっかりはまるので靴とのセット購入をおすすめします。
フォスターカラーの付属品
靴箱は緑+黄、靴袋は緑とお店のカラーが全面に出ています。
最後に
ドーバーを購入するチャンスは、グリーンのファクトリー訪問時等何回もあったのですが、すでにガジアーノのHoveを持っていたこともあり、いまいち食指が伸びませんでした。が、キーブルについては試着時に妻も珍しく(?)「この靴格好いいね!」と前向きなコメントを残したこともあり、別腹購入とあいなりました。。
ドーバーそのままと言われるとそのとおりなのですが、クオリティは本家に引けを取らないものになっているのではと思います。ドーバーがありふれている中で、あえてこちらを選択するのも面白いのかもしれません。Uチップの購入をお考えの方は、フィッティングの違い等、比較検討してみるのもよいのではないでしょうか。
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