フィレンツェのマンニーナでビスポーク①

Mannina

2019年2月に、フィレンツェのビスポーク店であるマンニーナで3アイレットダービーを注文しました。この記事では、店舗の様子や注文までの過程を紹介します。

店舗情報

店舗は2箇所あり、RTW販売専用の店舗とビスポークのワークショップとに分かれています。グーグルマップでマンニーナと検索して出てくるのはRTW用のほうです。

ポンテ・ヴェッキオからの景色。店舗はここから徒歩3分ほど

RTW店舗

  • 開店時間:9時~19時30分
  • 定休日:なし

ワークショップ

  • 開店時間:10時~13時、15時~19時30分
  • 定休日:店舗にご確認下さい

ビスポーク職人だったカロ―ジェロ氏が数年前に亡くなり、今は息子さんが店を切り盛りされています。

店舗近くにはメローラもあります。100ユーロ前後~と日本よりお得。

ビスポークの概要

納期は9ヶ月~。費用は1100ユーロ(+シューツリー100ユーロ)~。仮縫い・フィッティングは原則なし。ちなみにイタリア→ドイツへの送料は50ユーロでした。

なお、採寸当日は、一連の行程を終えるのに1時間強程度みておいたほうがよいでしょう。

フィレンツェといえば…

フィレンツェといえば、ベーメル、ウゴリーニ等有名なシューメイカーの宝庫。ここに来たからには何か収穫を…

とはいえ、クレバリーでの多額の出費を踏まえると、あまりお金はかけられないのが正直なところ。事前にベーメルにメールで問い合わせたところ、MTOで1250ユーロ~と予算オーバー。また、ベーメルでこれが欲しいという特定のスタイルがなかったことから、1100ユーロ~と比較的落ち着いた価格で、かつデザインを自由に決められるマンニーナでお願いすることにしました。

お店訪問

最初は2店舗のうちどちらがワークショップなのかわからず、間違ってRTWの店舗へ。

こちらには日本人の店員さんがおり、コミュニケーション上の不安はなさそうです。

取扱われている靴はほとんどがマッケイ製法で、デザインのバリエーションが豊富。

価格も300ユーロ~と比較的手が届きやすいレンジです。レディースも充実しています。

ワークショップへ

気を取り直してワークショップへ(不覚にも店舗外の写真を撮り忘れました。。)。大谷さんとイタリア人職人のジョバンニが対応してくれました。

大谷さん・ジョバンニともにワークショップでの勤務歴は10年近くに達しており、お二人ともカロ―ジェロさんの指導を受けられたそうです。

ここ数年、アメリカ・日本・ヨーロッパからの顧客が同程度を占めているそうです。やはり日本の靴好きからの人気が高いようですね。

靴作りのポリシーは、カロ―ジェロさんが掲げられていた「良い靴とは靴下の様にストレスなくはけ、それでいてエレガントな物」というもので、このポリシーに基づき、従来より、返りがよく、軽量なマッケイ製法を主軸とし制作されているそうです。

採寸

まず、朱肉のようなもの(語彙力なくてすみません。。)に採寸用のシートを差しこみ、立った状態で足型の輪郭をシートに落としこんでいきます。足圧がかかる部分を可視化することで、フィッティングの誤差を少なくするためとのこと。

順番前後しますがこれのことです

途中経過はこちら。

さらに座った状態で各数値を測っていきます。

採寸の瞬間はいつ見てもワクワクします… !

片足採寸終了後はこちら。骨の出っ張っている部分等に赤丸が加えられています。

デザインの決定

その後デザインの決定へ。デザイン自体はカジュアル用の3アイレットダービーと決めていましたが、フィレンツェらしさを出したいと思い、メダリオンをフィレンツェの百合の紋章に変更。人気のカスタマイズだそうです。

こちらがフィレンツェの紋章

革は主にイタリアのタンナーから調達されているとのこと。マンニーナでは鹿革も人気とのことでそちらと迷いましたが、シボの表情が強めに出るとのこと。どちらかというと綺麗めに履きたかったので、ブラウンのカーフを選択。

あれこれ相談しながら、大谷さんが仕様を書き込んだデザイン画を仕上げていきます。こちらは採寸終了後の一枚。革見本のうち下のものが鹿革。

製法はマッケイに

もう1つ重要なポイントは製法の選択。グッドイヤーやノルウェージャンもokとのことでしたが、イタリア靴らしく、かつ費用も抑えられるマッケイ製法にしました。

耐久性の観点からハーフラバーもプラス。基本的にマッケイ製法の場合にはハーフラバーの装着をオススメしているそうです。

マッケイ製法の場合、一般的に、地面と足裏が近いため、より直接的に歩行時の衝撃を受けやすく、グッドイヤー製法の靴よりも疲れやすいと言われています。マッケイ製法の靴はフェランテのローファーを1足持っていますが、その靴については確かに長時間の着用は疲れる印象…マンニーナの場合どうなのかは着用後別途まとめたいと思います。

ベースラストの選択

最後にサンプルに足入れしてベースラストを決定。ラストはトゥの形状の差異を含めて全部で30種類以上あり、私の場合、その中から足の形に合うと思われる4~5種類のラストを使用したものを試し履きし、一番しっくりくるものを選択しました。ここからさらにラストを削ったり、革を乗せたりして調整を加えていくとのこと。

以上で必要な行程を終え、この日は終了。そこから待つこと9ヶ月程した2019年12月に納品を受けました。製作過程・納品された靴の詳細は別記事で紹介します。

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