松田笑子さんのビスポークシューズ、仮縫い

Emiko Matsuda

7月末にロンドンでオーダーした元フォスターアンドサンの工房長、松田笑子さん (Emiko Matsuda) のビスポークシューズ。10月に仮縫いのため、ロンドンを再訪しました。この記事では、仮縫いの様子やビスポークサンプルなどを紹介します。

2か月振りのロンドン

ビザの関係もあり前回から間を置かず、2か月振りの訪問。

前回宿泊したTemple付近のホテルに滞在しましたが、人通りは多少増えた印象を受けました。イギリスではコロナウイルスの感染者数の増加を受けて、バー・レストランの営業時間の制限(夜10時まで)やエリアごとのロックダウンなどの措置を講じていますが、なかなか歯止めがかからない状況。今後の推移が心配です…

モックアップ

この日も松田さんにホテルまでお越しいただきました。ご準備いただいたモックアップはこちら。

あくまでフィッティングの確認用のため、穴飾りなどは簡易ですが、コルクのソール付きで、このまま歩けそうな作り。

革は、本番と同じ種類(ただし本番用の靴には使わない部分)のものです。色味の把握にはありがたいですね。実物はブラウンとバーガンディの中間程度の色合いですが、仕上げによって色味は大分変わるとのことで、仕事で使いやすいようブラウン寄りの色に調整をお願いしました。

一通り拝見したあとで、実際に履いてみました。

特に足裏に沿うような接地面の感触は手持ちのビスポークシューズと比較しても非常に良く、歩きやすい靴になりそうという期待が高まりました。また、少なくとも着用中に痛みを感じる箇所もなく一安心。

その一方で、甲まわりなどややゆとりを感じる箇所もあり、松田さんが首を傾げる一コマも。フィッティングの状況が前回の採寸時と可能な範囲で同じようになるよう努め(フライト翌日、同じ時間帯のアポイントメント)、この間体重の大きな増減もありませんでしたが、ただでさえ人の足は日々時間ごとに変動するようなので、やはり、フライトなどの長距離移動は避けるに越したことはないのかもしれません。

他のビスポークシューメーカーではフィッティングシューズをカットして確認することが多い印象ですが(マーキスや、9月にフィッティングがあったパトリックフライさんのところもそうでした)、松田さんはそれはせず、丁寧に靴全体を触診しながら修正箇所を手元のメモとフィッティングシューズ自体に書き込んでおられました。

また、松田さんがチェック項目として挙げられていたトウの長さについては、着用時の全体のバランスを踏まえ、数ミリ削ることに。上の写真は、削るとこの程度の見え方になりますと示していただいた際の様子です。

シューツリーの仕様の決定

前回積み残しになっていたシューツリーの仕様ですが、何やらカラフルな数珠状のものが…

実は、これはシューツリーのカラーサンプルで、この中からシューツリーの色を選ぶことができます!シューツリーの制作を依頼しているフランスの職人さんによるものだそうで、何となく、さすがフランス、という気がしました(笑)靴の色に合わせて、赤系のものを選択。

シューツリーの形状については、以前のブログで紹介した、親指で抜ける仕様のものをお願いしました。

ビスポークサンプル:フルブローグ

今回もビスポークサンプルを見せていただきました。

こちらは黒のフルブローグ。どっしりとした佇まいと存在感のある穴飾りが力強さを感じさせます。

ラウンドトウのドレスシューズはあまり持っていないのですが、これはこれで良いですね…

この靴には、フィドルバックよりもこのソールの仕様が似合う気がします。

ビスポークサンプル:レディース

こちらはレディースのサンプル。

クロコダイルのダービーという何とも贅沢な一足。ご主人の連れビスポで注文される方もいらっしゃるそうです。

上のブローグのサンプルと比較して、ヒールの積み上げが高めでかつ傾斜があるのが見てとれます。

ソールの色もアッパーとマッチしていて素敵ですね。

ちなみに、この日松田さんはこちらの靴をお召しになっていました。お好きなスタイルとのことで、たまらなく格好良かったです・・・‼

最後に

今回の修正点を反映いただいたうえで、年明けをめどに、ウェルトが付いた状態の本番用の靴でフィッティングを行う予定です。来年の楽しみがまた一つ増えました。

2020年11月に発売されたLastで松田さん特集が組まれています。トータル5ページで読み応えありです。

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