2019年10月にウィーンのビスポーク靴店、マフテイで注文したビスポークの2アイレットダービーの革靴。先日、2回目の仮靴が届きました。仮靴といえど、完成版とほぼ同じ仕様のすばらしい出来でした。この記事では、仮靴の詳細について紹介します。
注文時の様子・1回目の仮靴についてはこちらで紹介しています。
待てど暮らせど…
2月14日にマフテイからDHLで発送の連絡を受けました。前回の仮靴は発送の連絡を受けてから1週間ほどで到着したので、今回もその程度で到着すると思いきや、発送から数日後にドイツ入りしてからいつまで経っても到着予定日が表示されません。
Regensburg(ドイツ南東。ミュンヘン近くの都市)のExport parcel center→parcel center→transported to the destination country/destination areaのループが延々と繰り返されることに。。。何らかの理由で当局に目を付けられて、厳しいチェックに合っているのではないか…妄想がひたすら膨らみます(笑)
同じ場所を6回ぐるぐるして、3月11日にようやく荷物が届きました。結局発送からほぼ1か月。日本から送った荷物のほうが早く着くでしょうね(笑)
到着
前回はルーディックライターの靴箱をガムテープでぐるぐる巻きの簡素な包装でしたが、今回はDHLの箱で厳重に送られてきました。EU内なので無関税なのが地味にありがたいです。住所などの情報に誤りはなかったので、ますます何が原因だったのか。。
DHLの箱を開けると、マフテイの箱が出てきました。創業年と思しき1925年との記載が。5年後にちょうど100年を迎えることになりますね。
全貌
こちらが完成品。サンプルそのままのスタイルを採用した、スエードの2アイレットダービーです。丸みのあるラウンドトゥが東欧靴らしいですね。
靴紐は太めの平紐でやや長め。上品な雰囲気に一役買っている気がします。
ファッジングはもっぱら装飾目的ですが、ところどころ塗りむらが見受けられます。このあたりのおおらかさも味ですね(笑)
絞り込みはやりすぎず、といった程度。
木ペグ製法
この靴の大きな特徴は、底付けにあたって木釘でソールを固定していること(海外ではWood-pegged Constructionなどと呼ばれているようです。)。オーストリアを含む東欧靴で時折見られるこの製法。同製法については私を含めて馴染みのない方が多いかと思いますが、海外のサイトなどを見たところ、以下のような特徴があるようです。
- 縫いの工程がないので、他の製法よりも制作・修理に手間がかからない
- 接着剤なしでの製造が可能なので、関連するアレルギーがある方でも問題なし
- オールソールの回数は限られる
1点目は価格・納期に反映されており、マフテイでは、他の製法よりも数百ユーロ安く、また仕上がりも早かったです。ただ、修理面(特にオールソール)については、他の店舗にお願いするのは難しそうなので、ウィーンのワークショップに返送しなければならないのがネックではあります。
3点目の耐久性については、何回もオールソールするまで履きこむ場合には違いが出てくるかもしれませんが、そうでなければことさら問題視する必要はないでしょう。
こちらのサイトでオーストリアのビスポーク靴店であるゲオルグマテルナを訪問した際の記事があります(英語)。木ペグ製法についても詳細に紹介されており、写真も豊富で見ごたえがあります。
ウェスト部分は2列で、それ以外は1列で固定されています。
スチールも取り付けてもらいました(アップチャージなし)。日本でよく見る切れ込みがあるものではなく、のっぺりしたスチールです。
シームレスヒール
工房のトレードマークであるシームレスヒール。ヒールカップの収まりも良いです。
ヒールリフトにはビブラムの文字が。
木ペグ製法による履き心地への影響はなし
早速週末に1時間ほど履いてみました。ウェブサイトの中には、木ペグ製法の底付けの場合、他の製法と比較して履き心地が固いという趣旨の書き込みもありますが、個人的には有意な違いは感じませんでした。
右小指が当たってやや痛い点は要改善ですが、1回目の仮靴で伝えたその他の問題点は改善されていました。
シューツリー
ジョイント部分も含めて木製。丸い取っ手がかわいいです。
付属品
明るいグレーのシューバッグ。
特にオーダーしていませんでしたが、靴と同じ革で制作したベルトも付けてくれました。気前が良すぎです!サイズを調整して、一緒に使おうと思います。
最終フィードバックへ
実はこの靴、最終版ではありません。改善点をフィードバックして、この後本番用を作成してもらうことになっています。といっても、仕様上の大きな違いはライニングにシープスキンを使用してもらう点くらい。当初はてっきり仮靴1回→本番の流れだと思っていたのでびっくりしました。
1100ユーロでほぼ同じ仕様の靴が2足手に入るとは、なんとも贅沢なプロセス…しばらく履いてみて、フィードバックしたいと思います。
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