ノーザンプトンのトリッカーズの工場を舞台に、イギリスの革靴の歴史を振り返ったBBCのドキュメンタリー番組「Made in Great Britain」。革靴好きにはたまらない番組でした。ここでは特に印象に残った点を紹介します。
「Made in Great Britain」とは
同番組は、2018年末からBBCで放映されていたシリーズ物のドキュメンタリー。鞄職人や鍛冶屋など様々なバックグラウンドを有する職人さんが、イギリスの物作りにチャレンジしながらその歴史を紐解くというもの。革靴はその第1回で、トリッカーズの工場が舞台でした。
見たのが結構前なので、細かい点は覚えていないのですが、忘れてしまう前に印象に残った点を挙げてみました(記憶違いもあるかもしれないので、話半分でお願いします。。)
13世紀:turn shoe
これは13世紀に作られていたturn shoe。写真の状態からアッパーをひっくり返してソールを縫い付けることからついた名前だったと思います。
パッと見た感じではカバーつきのサンダルのようで、相当歩きづらそうでした(笑)
16世紀~:装飾具としての革靴
貴族の間で、革靴がその地位を示すための装飾具としての意味合いを強めたのがこの時期。
男性向けの革靴については、トウの長さがその男らしさや地位を示す一つメルクマールになったそうです。これまた歩きづらそう…
19世紀:ノーザンプトンの発展
ヴィクトリア期には、ノーザンプトンの靴産業が隆盛を迎えます。
これは、元来の革靴の製造に適した環境(牛の飼育が盛ん、木や水が豊富)に加えて、ロンドンに比べて労働力が安かったこと、ノーザンプトン~ロンドン間の水路が整備され製造物の運搬が容易になったという側面があったとか。
ミシンも使われ始め、生産性も向上しました。職人さんも、turn shoeの製作での苦労があった分、感動していた様子。
戦時中:軍用靴の大量生産
軍用靴の需要が高まった戦時中には、トリッカーズも軍用のブーツを製造していたようです。グッドイヤーミシンが大量生産を可能としました。
見た目は現在販売されているようなブーツに大分近づいてきました。グリップ力向上のため、レザーソールにはスタッドが。
他方で、民間では資材不足から、木のソールによる靴も登場。
これはノーザンプトンのshoe museumに保管されていたもので、案の定返りが悪すぎて売れなかったそう…
戦後:海外との競争激化
1970年頃から、労働力の安価な中国・インドなどとの競争にさらされ、ノーザンプトンにあった工場の9割近くが閉店に追い込まれることに。工場のなかには、ドラッグクイーン向けのブーツを製造し活路を見いだしたものも。
映画キンキーブーツでは、トリッカーズの工場がロケ地として登場します。靴抜きにしても楽しめる映画です。
これはトリッカーズでの仕上げ工程。ライターであぶってアッパーを整えていました。
職人さんによるオックスフォード。トリッカーズの職人さんもOKを出していました。
最後に
ここでは紹介しきれない内容が盛りだくさんで、革靴に対する興味が深まる番組でした。再放送の予定はないようですが、ぜひ円盤化してほしい番組のひとつです。
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