パトリックフライのビスポークシューズ、仮縫い(前編)

Patrick Frei

2018年のWorld Championships in Shoemakingの優勝者、パトリックフライ(Patrick Frei)氏のビスポークシューズ。仮縫いのため、3ヶ月ぶりにフライブルクの工房に足を運びました。この記事ではその様子について紹介します。

フライブルク観光

この日は天気が良かったので、ちょこっとフライブルクを観光しました。

フライブルクは盆地型都市で、15分も歩けば町を一望できる高台に上ることができます。

町にはBächle(ベッヘレ)と呼ばれる水路が張り巡らされて涼しげ。水路を利用したカフェもありました。足をつけているお客さんもいて羨ましい・・・笑

フィッティングシューズ

観光がひと段落したところで工房へ向かうと、パトリックフライさん、木村さんが出迎えてくださいました。さっそくフィッティングシューズと対面。

もちろん本番用の革ではありません。比較のため、右足と左足で仕様を変えていただきました。検討がしやすく助かります。左足はペッカリーとのコンビ、右足は一枚革。

飾り穴の大きさやメダリオンの有無も違います。

ペッカリーは表情があり独特の味が出ますね。秋冬向けにはぴったりかもしれません。履き口にはパイピング処理が加えられています。

サイドから。

この靴の特徴であり、飾り穴の配置が絶妙なバランス。左右で見比べると、飾り穴の大きさで大分印象が変わるものですね。

バックビュー。

右足、シームレスヒールかと思いきや・・・

うっすらとステッチがあるのがお分かりになるでしょうか。

型紙ベースだとより分かりやすいですが、これは、靴全体を通底する曲線的な印象がヒールのシームにより崩れないようにとの発想だそうです。仕上げの段階ではほぼ目立たなくなるようで、機能的な側面と美的側面を両立しようという意欲的な試みに心が躍りました。せっかくなので本番用もこちらの仕様でお願いしました。

斜めから。この角度もなかなか好みです。

元サンプルと並べてみました。飾り穴とメダリオンがあると華やかな印象になりますね。

ソールはコルクとの混合。実際のソールの履き心地に近いとのことで採用しているそうです。

革の再検討

ペッカリーについては物は試しということでトライしてみましたが、結構ポップな印象になるのと、通年で履くのには向かないように思われることから今回は見送ることに。他方で、せっかくパトリックさんにお願いするからにはオリジナリティのあるものにしたいと思い、色々と興味深い提案をいただいたもののその場では決められず。クラストレザーなどいくつか見繕ってもらったうえで、別途提案していただけることになりました。

試着

一通り堪能してから試着へ。きちんと歩けるソールなので、工房の外に出て軽く歩き回ってみました。

履いた状態で見てみると、左足の飾り穴が思った以上に小さかったので、右足程度の大きさをベースにお願いしました。

右足の小指と踵の出っ張りを踏まえてスペースをとっていただいていましたが、特に一の甲あたりと踵回り、履き口などはもう少し攻められそうということで、ラストを調整してもらうことに。日本のお客さんはタイトフィッティングを好む方が多いそうですが、他方であまりタイトにしすぎて年を取って太ったりアーチが落ちたりして履けなくなることは避けたいので、そのあたりのバランスをどう取るかが悩ましいですね。

一通り履いてパトリックさんが修正箇所をチェックされた後は、フィッティングの確認のため、パトリックさんがフィッティングシューズをカット。

ミニ四駆の肉抜きを思い出しました(笑)

切り抜いたあと、再度試着して触診しながらサイズのチェック。

修正に必要な情報を手元のシートとラストに書き込んでいました。

長くなったので、続きやビスポークサンプルについては別記事でまとめます。採寸・工房の様子については下の記事で紹介しています。

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