サヴィルロウのハンツマンでスーツをビスポーク(店内編)

Huntsman

2019年6月に、サヴィルロウのビスポークテイラー、ハンツマン(Huntsman)にて、2ピーススーツをビスポークしました。この記事では嗜好を変えて、ハンツマンの店内の様子を紹介します。

既製品エリア

入口手前側には既製品が展示されています。ハンツマンはサヴィルロウのテーラーの中でも比較的早期の1960~70年代から既製品の販売を開始したそうで、伝統を維持しつつも、新しいものを取り入れる姿勢が伺われます。

ドアを開けて目に飛び込んでくる、鹿の頭部のはく製。その昔、顧客がお店に置いていったきり戻ってくることはなく、探しても持ち主が見つからなかったので飾ることにしたそうです(笑)

ハンツマンのルーツである、乗馬用のトラウザーズも展示されています。ライディングブーツが履けるように、ふくらはぎ部分が短めに作られている模様。

1886年にプリンス・オブ・ウェールズ(のちのエドワード7世)から「Leather Breeches Maker(乗馬用ズボン製造業者)」としてロイヤルワラントを授与された際の盾。今の盾と比べるとサイズが段違いです。昔ロイヤルワラントを授与されたときはこの盾が標準仕様だったのでしょうか?

小物類も充実しているので、自分へのお土産などにちょうどよいかもしれません。

ハンツマン仕様のジョー・マローンの香水。1つ購入したら4つ全部揃えたくなりそうですね(笑)

カッターの作業場

1階を奥に進むと、カッターの作業場があります。生地を広げながらの作業となるためか、広々とした作業用のスペースです。大量の型紙もかけられています。同様の作業場は2階にもあるそうです。

著名人の型紙も無造作に(?)飾られていていちいち驚かされます。左はデヴィッド・ボウイ、右はアレクサンダー・マックイーンでしょうか。

頭上には大量の型紙が吊るされています。これは、先の2度の大戦で亡くなった顧客の型紙を、彼らに対する追悼の意味を込めて目に見えるところにディスプレイしているそうです。

先日、イギリスで、99歳の退役軍人のおじいさん(Captain Tom)がNHSへのチャリティ目的で自宅の庭をウォーキングする様子が話題に上っていましたが、これに限らず、イギリスでは戦争従事者や、退役軍人の方への敬意が強く感じられる(言い換えれば、敬意を表する機会が多い)ように思います。サッカーを観戦した際も、道すがらで退役軍人の方が募金活動をしている様子を良く見かけました。

セレブリティ御用達

店内には顧客の写真が様々な場所に飾られています。

こちらはエドワード7世(エリザベス2世の祖父)。履いているのはオペラパンプスでしょうか。

ローマの休日で有名なグレゴリー・ペックはハンツマンの上客だったそうです。手にしているのは「アラバマ物語」でのアカデミー賞主演男優賞のトロフィー。プレゼンターはソフィア・ローレン。

専用のページもあります。

Huntsman Savile Row: Savile Row Tailors | Mens Suit Tailors
The World’s Finest Handcrafted Clothes | Tailor To Kings & Queens | Home Of Kingsman

レオナルド・ディカプリオも。壁のツイードがまたいい味を出しています。

地下1階へ

店舗の外からちらりと見える地下1階の様子。1階と比べると、作業スペースがぎっちり詰まっており、また地下ながら明るい印象を受けました。手元が明るいなかで作業を進める必要があるためでしょうか。私が見学したときは、男性・女性の方がほぼ同数いらしたと思います。

アイロンワークの様子。生で見たのは初めてです。

最後に

一見敷居が高そうに見えますが、一部のお店と異なり、ブザーを押さないと入れない仕様ではなく、普通にドアは開けられるので、入ってしまえばこっちのものだと思います(笑)。採寸の際に訪れた際も、カジュアルな恰好で出入りする旅行者らしき方もいらっしゃいました。重厚なディスプレイは一見の価値があると思います。現在はロックダウンの影響で店舗は閉鎖中ですが、早期の再開を願っています。

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