2020年5月に採寸した、2018年のWorld Championships in Shoemakingの優勝者、パトリックフライ(Patrick Frei)氏のビスポークシューズ。美しいビスポークサンプルとともに、仮縫いの様子の続きをまとめました。
仕様の詰め
一通り修正の方向が定まってきたところで、オーダー時には確定していなかった細かい仕様についても決めていきました。
ライニング用に提案を受けたのがA&A Crack から仕入れたというサンクリスピンのベビーカーフ。足当たりに大きな差はないそうですが、ライニングにベビーカーフとは贅沢です!濃い目の色のほうをお願いしました。
この革についてはA&A Crackが動画を公開しています。
インソックには、こちらの模様を入れてもらうことにしました。
これは、パトリックさんの知人の壁紙業者が製造した壁紙をプレスしたもので、この革を使用したクライアント向けのブーツが格好よかったです。履いているときは見えないので自分しかわからない仕様ですが、こういった遊びもビスポークの醍醐味ではないでしょうか。
ソールの飾り釘は、アッパーの曲線的なデザインとケンカしないようにということでこちらを提案いただきました。
ヒールもこちらの優美なデザインと似たようなものでお願いしました。
本番用のアッパーはゾンタのゴルダニルカーフ。先日の採寸の際に松田さんもお使いになっているという話でした。
A&A Crackについてはこちらに訪問記をまとめています。
ビスポークサンプル
今回、じっくりビスポークサンプルを見せていただく機会がありました。
こちらのストレートチップはいずれも木村さんが作成されたもので、左は昔からのパターンの黄金比をあえて崩したもの、右はそれに則ったものだそうです。
サイズはほとんど同じなのですが、左のほうが(特にヴァンプ部分)やや間延びした印象を受けました。シンプルなデザインだけに、各パーツの配置・ラインの引き方でがらりと印象が変わる好例と言えそうです。
こちらはレディースのサンプル。
にじみ出るエレガントさ・・・!!!こんなボタンブーツを履いている女性が歩いていたら、思わず声をかけてしまうかもしれません・・・笑
ブラインドウェルトはレディースの靴に合いますね。
もはやヴィンテージ家具のようなソールの作りこみ。もったいなくて履けなさそう・・・
サンプルについては今後も随時作成していくとのこと。一部は工房のウェブサイトでも見られます(写真もとてもきれいです!)。
ちなみに、上はヴィンテージ(推定1950~60年頃)のカールフロイデンベルクのグレインレザー。えぐい艶が出ていました。
まさかのディンケラッカー
帰り際に木村さんが奥から出してくださったのは・・・
明らかにオフィシャルなハインリッヒディンケラッカーの展示用サンプル。笑 パトリックさんが知人から譲り受けたもので、ボードにはハンドソーンの手順の記載があり、靴には対応する工程についてシールが貼られています。
最後に
パトリックさん・木村さんいずれもとてもフレンドリーで話しやすいお人柄で、今回も楽しい時間でついつい長居してしまいました。こちらへの訪問は妻も楽しんでくれているようで、出費への理解も得やすくて助かります(?)
完成は年明けの予定。そのころにはドイツを離れているので、納品時に工房まで足を運ぶかは決めていませんが、時期によっては再訪するのもありかなという思いもあります。納品後、続報をまとめたいと思います。
採寸の様子についてはこちら。
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